皆さんは毛や絹などの家庭で洗濯できない服をクリーニング店に出したことがありますか? クリーニング店で行う「ドライクリーニング」は、石油系溶剤やパークロロエチレンといった有機溶剤を使用して洗っています。
生地に染料が定着していない場合などにドライクリーニングを行うと、溶剤に染料が溶け出してしまい、生地自体の色が変わってしまったり、他の生地に色移りしたりします。
試験の目的・概要
ドライクリーニング試験は、生地と白布をパークロロエチレンまたは石油系溶剤で処理します。取り出して乾燥させた後、生地の色の変化(変退色)と白布への色移り(汚染)の程度をグレースケールで等級判定して評価します。
通常、パークロロエチレンで処理が可能な生地はA-1法、石油系溶剤での処理に限定する生地はB-1法で試験を行います。
試験片
100mm×40mmの試験片×1枚
柄物やプリント生地などは色ごとに試験を行うため試料はさらに大きめのものが必要です。
生地と添付白布を縫い合わせて試験片を作成する。
条件
試験には有機溶剤の種類、界面活性剤と水の添加の有無、ステンレス鋼球の有無
よって分かれる。
試験の種類 | 有機溶剤の種類 | 界面活性剤と 水添加の有無 | ステンレス鋼球使用の有無 |
A-1法 | パークロロエチレン | 添加する | 使用する |
A-2法 | 添加しない | 使用しない | |
B-1法 | 工業用ガソリン | 添加する | 使用する |
B-2法 | 添加しない | 使用しない |
方法
- 表の条件で試験液を入れ、試験片を入れる
- 洗濯試験機に取り付けて30℃で30分運転する
- 試験片を取り出し、余分な液を取り除く
- 60℃以下で乾燥させる。
結果
- 試験片の変退色を変退色用グレースケールと比較して級数を判定する。
- 汚染した添付白布を汚染用グレースケールと比較して級数を判定する。
試験結果例
ドライクリーニング試験 | 試験結果例 | 一般的な目安 |
変退色 | 4級 | 4級以上 |
汚染 | 3-4級 | 3級以上 |