概要
ドライクリーニング処理による寸法変化率は生地などをドライクリーニングの溶剤で処理し、乾燥後に寸法変化の程度を百分率(%)で表したものです。
試験片
織物は約250mm×250mmの試験片を3枚、
編物は約250mm×250mmで2枚重ねの試験片を2枚採取する。
試験片の中央にタテヨコそれぞれ200mm間隔の印をつける。
試験
試験方法 | 概略 |
J-1法 | パークロロエチレン溶剤を試験液として使用する。 40℃の試験液4Lと試験片を試験機のシリンダに入れ、15分間運転する。 |
J-2法 | 石油系溶剤を試験液として使用する。 35℃の試験液4Lと試験片を試験機のシリンダに入れ、35分間運転する。 |
上表の条件で試験片を処理する。
試験片をタンブル乾燥機で乾燥する。(※)
※日本産業規格(JIS)では自然乾燥を標準としていますが、メンケン品質検査協会では人体や環境への影響低減に配慮し、タンブル乾燥機による乾燥を原則としています。
結果
試験片1枚当たりタテ方向3か所、ヨコ方向3か所の印間の長さを測る。
処理前後の印間の長さの平均値から、タテ方向およびヨコ方向それぞれの寸法変化率を算出する。
寸法変化率(%)= \(\displaystyle\frac{ (処理後の長さ)-(処理前の長さ)}{ (処理前の長さ)}\)×100
※寸法変化率のプラス(+)は伸び、マイナス(-)は縮みを表す。
試験結果例
生地 | 試験結果例 | 一般的な目安 |
織物 | タテ -1.1% ヨコ -2.8% | -3.0%~+3.0% |
編物 |
情報
ドライクリーニングには水とは異なる性質を持つ有機溶剤という液体を使います。ドライクリーニング溶剤は油性の物質を溶かしやすい性質があり、水洗いでは落ちにくい油性の汚れが落ちやすいといった特徴があります。また、水によって影響を受けやすいシルクやウールも見た目の影響を変えることなく洗うことができます。
一方で水に溶けやすい汗等の成分は有機溶剤に溶けにくいため、ドライクリーニングしても汚れが残りやすくなります。
汚れの種類と衣類の素材によって、水洗いとドライクリーニングを使い分けることが大事です。
溶剤の種類 | 特徴 |
パークロロエチレン | エチレンという有機物質から工業的に合成された有機溶剤で、衣類のドライクリーニングに広く使われています。 特徴は作用力が強いこと。衣類についた皮脂や口紅のような水では落ちない汚れが落ちやすくなります。 また、洗浄時間も短くなるのでクリーニング時間が短くすることができます。 その反面、作用力が強いということで、ポリウレタンや顔料プリント、樹脂等を溶かしてしまうこともあります。 |
石油系溶剤 | 名前の通り石油から生成される溶剤で、衣類のドライクリーニングに広く使われています。 作用力が弱いのでデリケートな衣類も洗うことができます。シルク素材や樹脂などのクリーニングに適しています。 一方、皮脂や口紅などのしつこい汚れはやや取れにくいこともあります。 |