速乾性は部分的にしみ込んだ水分をすばやく蒸発させる性能です。かいた汗が衣服に吸われた後、水分が素早く蒸発することで肌がさらっとして快適に感じることができます。
主に夏物の衣服やスポーツ・アウトドアウェアなどの織物や編物の速乾といった機能性を表示する場合に試験します。また、生地が吸水しやすい性能である吸水性と合わせて、吸水速乾と謳われることもあります。
目的・概要
汗に見立てた少量の水を生地中央の1点に滴下し、一定時間毎に残留している水分量を測定します。速乾性試験は生地にしみ込んだ水分が蒸発し、生地が乾燥するまでの時間で評価します。
この試験方法は生地が部分的に湿潤した状態での速乾性の評価に適しています。
拡散性残留水分率
速乾性の中でも幅広く使用されています。一定時間毎の生地中に残留している水分量を算出します。
試験片
約200mm×200mmの試験片×3枚
試験
重量を測定した3枚の試験片それぞれの中央部に水0.3mLを滴下する。
※約60秒以上吸水しない場合は「吸水性なし」と判定し、試験することができません。
中央部に水が浸み込んだ試験片を広げた状態で、素早く計測器(天秤など)に吊り下げる。
滴下直後から60分または、滴下した水分の90%が蒸発するまで、5分ごとに重量を測定する。
結果
5分ごとの残留水分率を次式から求める。
試験結果例
時間 (分) | 拡散性残留水分率 (%) |
0 | 100 |
5 | 89.0 |
10 | 78.1 |
15 | 67.0 |
20 | 55.9 |
25 | 44.8 |
30 | 33.9 |
35 | 23.1 |
40 | 12.0 |
45 | 8.1 |
50 | 5.9 |
55 | 4.3 |
代表的な基準値
織物 | 60分後に30%以下 |
編物 | 60分後に30%以下 |
ISO 17617 A1法
拡散性残留水分率をベースに国際規格化された試験方法です。
試験片
約200mm×200mmの試験片×3枚
試験
重量を測定した3枚の試験片それぞれの中央部に水0.3mLを滴下する。
※約60秒以上吸水しない場合は「吸水性なし」と判定し、試験不可となる。
中央部に水が浸み込んだ試験片を広げた状態で、素早く計測器(天秤など)に吊り下げる。
滴下直後から60分または、滴下した水分の90%が蒸発するまで、5分ごとに重量を測定する。………(1)
結果
(1)の終点の時間と残留水分量から、水分が乾燥する間の蒸発水分量の近似式を求める。
近似式からy(水分乾燥率)=100となるx(乾燥時間)を求める。
試験結果例
生地 | 試験結果例 |
織物 | 46分 |
編物 |