- 厚生省令第34号
- JIS L 1041
ホルムアルデヒドは防縮や防しわなどの目的で繊維製品に使われることのある物質です。ホルムアルデヒドは少量でも皮膚や粘膜に炎症を起こすことがあり、発がん性があるともされています。このため日本では法規制「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則(厚生省令第34号)」によって使用が制限されています。
ホルムアルデヒドが水に溶けたものはホルマリンといい、この試験をホルマリン試験とも呼ばれることもあります。
目的・概要
繊維製品などから水に溶けだすホルムアルデヒドの濃度を測定します。
繊維製品や生地を細断し、水に入れて撹拌します。撹拌後の水と反応液(ホルムアルデヒドに反応して黄色く発色する)を混ぜて反応させ、黄色く変色した度合い(吸光度)を測定します。
- A法…生後24月以内の乳幼児用のもので以下のものが対象です。
繊維製品のうち、おしめ、おしめカバー、よだれ掛け、下着、寝衣、手袋、くつした、中衣、
外衣、帽子、寝具
- B法…乳幼児用を除く以下のものが対象です。
下着、寝衣、手袋、くつした、たび、“かつら、つけまつげ、つけひげ又はくつしたどめに使用
される接着剤”
試験
試験片
- A法:試料を0.5~1cm角に細かく切り、その中から2.5gを採取する。
- B法:試料を0.5~1cm角に細かく切り、その中から1.0gを採取する。
製品から採取する場合
- 製品全体を1試料とする場合
製品に使用されている様々なパーツが全て含まれるように採取する。このとき、なるべく各パーツの重量が製品に使用されている質量比に近くなるようにする。
- パーツ毎に試料を取る場合
製品に使用されているパーツ毎に規定量の試料を採取する。小さい又は少ないパーツで規定量が取れない場合は、複数のパーツを合わせて規定量にすることがある。
方法
1. 細かく切った規定量の試料を栓付きのフラスコに入れ、水を100mL入れる。
2. 40℃で1時間、軽く撹拌する。
3. 撹拌後の抽出液から試料(繊維片)をろ過する。
4. 試験管に抽出液5mLと発色試薬(※1)5mLを入れる。…①
5. 別の試験管に抽出液5mLと緩衝液(※2)5mLを入れる。…②
6. それぞれの試験管を40℃で30分間撹拌した後、室内で30分間放置する。
7. それぞれの試験液について、分光光度計を使って波長が412~415nmの間での吸光度を測定する。
※1 ホルムアルデヒドに反応して黄色く発色するアセチルアセトンという物質を含む試薬
※2 発色試薬のうち、アセチルアセトンを含まない試薬
計算
- A法
次の式によって吸光度を求める。
吸光度差(A–A0)=(①液の吸光度(A))-(②液の吸光度(A0))
- B法
吸光度、試験試料の重さなどから溶出したホルムアルデヒド量を求める。
試験結果例
試験結果例 | 一般的な目安 | |
A法 | 0.05以下[一般] 0.12 0.03以下(0.01)[一部の自主基準] | 0.05以下[厚生省令第34号] 0.03以下[一部の自主基準] |
B法 | 20μg/g[20以下のもの] 25μg/g | 対象品目:75μg/g[厚生省令第34号] |