重量物が入ったバッグでは、持ち手やショルダー紐の取り付け部分は大きな力が集中して壊れやすい部分の一つです。
鞄、バッグ類の持ち手や肩掛け紐などの耐荷重を把手強度と呼ばれています。把手等の種類ごとに破断時の荷重を測定し、各部位ごとの耐荷重を評価します。把手強度試験では生地や縫目だけでなく、Dカンやフックのような金具も含めた総合的な強度を測定することができます。
目的・概要
鞄類の把手の取付け部分を切り出します。鞄類の把手と本体部分を引っ張り、何らかの破断が起こった時の荷重を測定します。
また、破断時の外観を試験結果に付記して報告します。
JIS L 1096 引張強さA法準用 定速伸長形引張試験機法
試験片
バッグから、把手の縫製部分を中心に把手方向とバッグ本体方向にそれぞれ15cm~20cm程度の試験片を1片以上採取する。
試験
1.バッグの容積を測定する。
2.引張試験機の一方の治具に把手、もう一方の治具にバッグ本体生地を固定する。
※把手強度の測定では、力がかかる方向に引っ張る方法と力がかかる方向と逆方向に引っ張る方法の2種類がある。
どちらを選択するかは販売者の方針による。
3.一定速度で把手と本体生地を引っ張り、破断時の最大荷重を測定する。
4.試験片を取り外し、破断の状態を確認する。
付記用語の例 | 説明 |
縫糸切断 | 縫い糸が切断した状態 |
生地破断 | 生地が切断または破れた状態 |
完全滑脱 | 生地糸が動き、縫目から滑り抜けた状態 |
把手の種類ごとに試験片分の測定を繰り返す。
結果
把手の種類ごとに測定回数分の平均値を算出する。
試験結果例
試験片 | 試験結果例 | 一般的な目安 |
バッグ | 持ち手部分 267N (縫糸切断) ショルダー部分 432N (生地破断) | 容積20L未満の場合 容積×10N以上(※) 容積20L以上の場合 200N以上 |
※バッグの容積が17.5Lの場合、17.5×10=175N以上が目安となる。