JIS L 1093 A法(グラブ法)
繊維製品では縫目部分が強く引っ張られることで縫目付近の生地糸の滑り(滑脱)や、縫い糸の切断などが発生します。これらを評価する試験を縫目強さ試験といいます。
生地糸が滑りやすく滑脱する場合は製品を縫製する際に、
・縫い代を大きくとる
・滑脱防止テープを貼り付けて縫う
・縫目を2重、3重にする
・タイトなデザインを避ける
などの対策によって、ある程度防ぐことができます。
目的・概要
縫目強さ試験のグラブ法では主に布帛の製品について衣料品の縫製部分や、鞄類の底縫い部分などで縫目の強さを試験します。
縫目強さ試験は試料として製造された製品の縫目を使用します。縫目を中央にして両側から周辺生地を引張ります。縫目または周辺部が何らかの破断するときの荷重を測定します。また、破断時の外観を試験結果に付記して報告します。
A-1法(縫目水平法)
試験片
製品から縫目を中心に100mm×150mmの試験片×5枚
このとき、次のことが同一になるよう注意する。
・縫糸の種類及び縫目の形
・縫い合わせ方向(生地のタテ・ヨコ)
・縫い方向
・縫代
・単位長さ当たりの縫目数
試験
1.試験片の縫目を中央にして、縫目から垂直方向に引っ張る。
2.縫目が最初に破断した時の引張強さを測定する。
3.縫目破断時の伸びを測定する。
4.1種類の縫目に対して5回の試験を繰り返す。
結果
縫目破断時の伸びから伸び率を求める。
引張強さ及び伸び率について5回の平均値を求める。
縫目破断時の外観を付記する。
試験結果例
生地 | 試験結果例 | 一般的な目安 |
織物縫目 | 引張強さ 78.9N 伸び率 14.6% 外観 生地糸の切断 | 100N以上 ※伸び率は参考値です |
試験する縫目によって破断時の外観は次のように表現されます。このような場合は以下のような用語が付記されます。
用語・記載例 | 外観 |
縫糸の切断 | 生地を縫製している糸が切断した状態 |
生地糸の切断 | 生地のタテ又はヨコ糸が切断した状態 |
生地糸の滑脱 | 縫代部分の糸が滑り、タテ又はヨコ糸が抜けた状態 |
上記の二つ以上の組み合わせ | 例えば、「縫糸の切断及び生地糸の滑脱」のように複数が組み合わさっている状態 |