生地に強い力が加わることである程度生地が伸びます。力が生地の限度を超えるとそれ以上伸長できなくなって生地が破れます。この生地が破れるときの強度を引張強さと呼んでいます。
衣料品の場合はジャケットやシャツの袖の付け根部分、パンツの尻や腿付近が大きな力の加わりやすい部分です。
強い力が加わると想定される資材用織物のほか、衣料品では特に毛織物は注意が必要な素材です。
目的・概要
主に織物の引張強さを評価します。
生地をタテ方向またはヨコ方向に引っ張り、生地が破断・切断するときの強度を調べます。数値が大きいほど強く破れにくい生地ということになります。
また、強度と同時に切断時の生地の伸び率を求められます。伸び率が大きい生地は瞬時に一か所に大きな力がかかりにくいため、破れにくいというメリットがあります。
JIS L 1096 A法(ストリップ法)
試験片
約55mm×300mmの試験片をタテ方向、ヨコ方向に沿って3枚ずつ採取する。
55mmの幅に対して両端から数本の糸を抜き、50mmの幅に揃える。
糸が引き抜けない試料の場合はタテ方向、ヨコ方向に沿って50mm×300mmに切りそろえる
試験
- タテ方向、ヨコ方向の試験片それぞれで長辺方向に生地が切断するまで引っ張り、切断時の最大荷重と伸びた長さを測定する。
- タテ方向、ヨコ方向それぞれ3回の試験を繰り返す。
結果
切断時の伸びから伸び率を算出する。
引張強さ(N)= 切断時の最大荷重
伸び率(%)= \(\displaystyle\frac{ (最大荷重時のつかみ間隔)-(処理前のつかみ間隔)}{ (試験前のつかみ間隔)}\)×100
引張強さ及び伸び率のタテ方向、ヨコ方向それぞれ3回の平均値を求める。
試験結果例
生地 | 試験結果例 | 一般的な目安 |
織物 | タテ 引張強さ 254 N 伸び率 11.5 % ヨコ 引張強さ 189 N 伸び率 18.4 % | 引張強さ 毛織物 150 N以上 毛以外の織物 200 N以上 ※伸び率は参考値 |