春から秋にかけて日光に当たることで肌が日焼けした経験があると思います。これは日光に含まれる紫外線が大きく影響しています。衣服を着ることで紫外線が肌に当たるのを防ぐことができ、その性能を紫外線遮蔽性と呼んでいます。
一般的な生地でもある程度の紫外線遮蔽性があり、色が濃く、厚手の生地ほど効果は高い傾向があります。また、色の薄い生地であっても、繊維自体や生地に加工を施すことで高い効果を得られるものもあります。
JIS L 1925 紫外線遮蔽率
目的・概要
紫外線遮蔽性は紫外線が生地によって遮られる割合を測定します。生地に紫外線を照射し、波長ごとに生地を通過した紫外線量を測定します。生地に照射した紫外線量と透過した紫外線量から、生地によって遮蔽された紫外線の割合を算出します。
主に紫外線遮蔽やUVカットなどの機能を謳う生地の評価を行います。
試験片
約50mm×50mmの試験片×4枚。
試験
1.生地を分光光度計に取り付ける。
2.試験片の光の透過率を光の波長400nm~290nmの範囲で1nm毎に測定する。
3.タテ方向に2回、ヨコ方向に2回の合計4回の試験を繰り返す。
4.各波長での光の照射量と透過率から波長400nm~290nmの範囲全体の遮蔽率を、4回の試験それぞれで算出する。
(紫外線遮蔽率(%))=\(\displaystyle \sum_{λ=290}^{400}(1-(\displaystyle\frac{ (波長λの光の照射量)}{ (波長λの光の照射量)}\))
結果
試験片4枚の遮蔽率の平均値を求める。
試験結果例
生地 | 試験結果例 | 一般的な目安 |
織物 | 92.3% | 90%以上 |
編物 |
JIS L 1925 紫外線防護係数(UPF)
紫外線防護係数(UPF)は紫外線の各波長の遮蔽率(生地がカットする紫外線量)、太陽光の相対エネルギー値(地表に届く光量)、皮膚への影響指数(肌への影響度)から得られる特性値で評価します。
紫外線の中でも短い波長の光は、地上に届く光量は弱くなる一方で、肌への影響の度合い(皮膚への影響指数)大きくなります。生地が遮る各波長の紫外線遮蔽率とこれらの各波長の特性値を掛け合わせることで、肌への影響を防ぐ度合いを表しています。
試験片
約50mm×50mmの試験片×4枚
試験
1.生地を分光光度計に取り付ける。
2.試験片の光の透過率を光の波長400nm~290nmの範囲で1nm毎に測定する。
3.タテ方向に2回、ヨコ方向に2回の合計4回の試験を繰り返す。
4.各波長の遮蔽率、波長ごとの太陽分光放射照度の相対エネルギー値[W/(m2・nm)]、波長ごとの皮膚の影響度合いを表す数値の3要素を基に紫外線防護係数(UPF)を算出する。
結果
① UPF平均値とその標準偏差から求められる値
② UPF最低値
のいずれか大きい方を、最も近い5の倍数に切り下げてUPF換算値とする。
試験結果例
生地 | 試験結果例 | 一般的な目安 |
織物 | UPF換算値 35 | UPF換算値 15以上 |
編物 |
UPF換算値は皮膚が太陽光の紫外線から受ける影響を低減する値を表しています。
例えば、UPF35の衣服を着た場合、衣服で覆われている部分の皮膚は素肌の皮膚と比べて、同じ紫外線による影響を受けるのに35倍の時間がかかることを表しています。